Rust 解説 基本構成

System

Rustは、Mozillaが開発したオープンソースのプログラミング言語です。
特に「安全性」「高速性」「並行処理の強さ」に重点を置いて設計され、システム開発やWebAssembly、サーバーアプリケーション、ゲームエンジン開発などで注目を集めています。
この記事では、Rustの基本的な仕組みと使い方について、大学生にもわかりやすく解説していきます。

Rustとは?いま注目される理由

Rustは2006年に開発が始まり、2015年に正式リリースされたプログラミング言語です。
C/C++の代わりになる「安全なシステム言語」として設計され、メモリ管理の安全性と高速な処理性能を両立しています。

近年では、Webブラウザ上で動くプログラム(WebAssembly)やサーバー開発、インフラ基盤、ブロックチェーンなどの分野でもRustの採用が増えています。

Rustプログラムの基本構成

Rustのプログラムは次のようなパーツで構成されています。

  • クレート(crate):パッケージ単位のコード管理

  • モジュール(mod):ファイルやコードのグループ化

  • 関数(fn):処理をまとめる単位

  • 変数(let、mut):データを一時保存する箱

  • 制御構造(if、match、for、whileなど):プログラムの流れを制御

  • 所有権(Ownership)と借用(Borrowing):メモリ管理の独自ルール

これらを正しく組み合わせることで、安全で高速なプログラムを作ることができます。

よく使われるRustのツールとライブラリ

Rust開発では、次のようなツールやライブラリがよく使われます。

  • Cargo:プロジェクト管理やパッケージ管理をするツール

  • Serde:データの保存や変換(シリアル化・デシリアル化)を簡単にするライブラリ

  • Tokio:ネットワーク処理などを非同期で実行できる仕組み

  • Actix-web:高速なWebサーバーを作るためのフレームワーク

  • Rocket:書きやすく使いやすいWebアプリ向けフレームワーク

  • Clippy:コードの品質チェックをしてくれるツール

これらを使いこなすことで、よりスムーズに本格的な開発ができるようになります。

Rustプログラムを作る流れ

Rustを使ってプログラムを書く基本的な流れは次の通りです。

  1. Rustをインストールする(rustupを使う)

  2. 新しいプロジェクトを作成する(cargo new プロジェクト名

  3. 必要なライブラリを設定する(Cargo.tomlを編集)

  4. コードを書く(所有権などに注意)

  5. テストを行う(単体テストや統合テスト)

  6. ビルドして実行ファイルを作成する(Cargoで管理)

Rustはコンパイル時に細かくエラーをチェックしてくれるので、バグを早い段階で見つけやすい特徴があります。

Rustを学ぶメリットと気をつけたい点

Rustを学ぶことで次のようなメリットがあります。

  • メモリ管理が安全な高性能プログラムが作れる

  • マルチスレッド並行処理が得意

  • WebAssemblyやクロスプラットフォーム開発にも向いている

  • 明示的なエラーハンドリングがしっかり身につく

一方で、Rust特有の「所有権」や「ライフタイム」の考え方は、最初は少し難しく感じるかもしれません。
しかし、これらを理解することで、将来どんなプログラムを書くときにも役立つ強い土台ができます。

サンプルコード

Rustの基本をつかむための簡単な例を紹介します。

変数と条件分岐の例

fn main() {
    let age = 20;

    if age >= 18 {
        println!("成人です。");
    } else {
        println!("未成年です。");
    }
}

ループ処理の例

fn main() {
    for i in 0..5 {
        println!("{}回目のループです。", i);
    }
}

関数定義と呼び出しの例

fn greet(name: &str) -> String {
    format!("こんにちは、{}さん!", name)
}

fn main() {
    let message = greet("太郎");
    println!("{}", message);
}

所有権と借用の基本例

fn main() {
    let s = String::from("Hello");
    print_string(&s);
    println!("{}", s); // sは引き続き使える
}

fn print_string(s: &String) {
    println!("{}", s);
}

このような例を通して、Rustならではのルールに慣れていきましょう。

用語まとめ

Rust
安全性とスピードを重視して作られたシステムプログラミング言語。

所有権(Ownership)
データの持ち主を明確にすることで、メモリ管理を安全に行う仕組み。

借用(Borrowing)
データの所有権を移さずに一時的に利用する方法。

Cargo
Rustのプロジェクト管理やビルドを助ける標準ツール。

おわりに

Rustは、これからのシステム開発やWebAssembly開発などでますます重要になる言語です。